流氓(ユメン)

| 判型 | 四六変型 |
|---|---|
| 頁数 | 480頁 |
| 定価 | 5,500円 (本体:5,000円) |
| ISBN | 978-4-622-09881-2 |
| Cコード | C0097 |
| 発行予定日 | 2026年10月9日予定 |

流氓(ユメン)

| 判型 | 四六変型 |
|---|---|
| 頁数 | 480頁 |
| 定価 | 5,500円 (本体:5,000円) |
| ISBN | 978-4-622-09881-2 |
| Cコード | C0097 |
| 発行予定日 | 2026年10月9日予定 |

1973年、韓国で朝鮮戦争後の国民的作家と目されていた孫昌渉が日本に移り住み、〈在日〉同胞の境遇を目の当たりにする。本書の表題作「流氓」は、彼が移住の約3年後に、韓国の新聞に連載した長編小説だ。そのタイトルには作家の受けた衝撃が痛いほど表れている。孫昌渉自身も、何度も死線をくぐりながら「流氓」(=流浪の民)の人生を生きてきた人なのだ。
「流氓」では二つの〈在日〉家族の、戦前・戦後にまたがる二世代の物語が描かれる。植民地下の朝鮮で土地を失って日本へ渡り、戦中の強制労働や日本敗戦後の混乱期を生きてきた在日一世の老人たち。彼らを差別する日本社会と、先の見えない朝鮮半島情勢との狭間に生まれ、展望を削られる人生に苦悩する二世の若者たち。著者自身を彷彿させる語り手の「私」は、〈在日〉の境界的な境遇のさらに境界の地点から、帰属を奪われた流氓の生を見つめている。日韓の文学史の、一瞬の貴重な邂逅と言えるようなディアスポラ小説だ。
併録の短編「生活的」は、孫昌渉の名を韓国文学史に刻み込んだ初期の作品群の一つ。純文学的に突き抜けた表現をもつ傑作であると同時に、(長編「流氓」の語り手も経験した)朝鮮戦争の惨禍による社会の荒廃と人々の受けた傷の深さがいかなるものであったかを、垣間見せてくれる。