みすず書房

D・J・ソローヴ『プライバシーの新理論』

概念と法の再考  大谷卓史訳

2013.06.25

「訳者あとがき」より

「(本書において)法学、哲学・倫理学の文献を再点検し、プライバシー概念の深い理論的考察を行うとともに、文化人類学、歴史学、社会学、文学など、きわめて幅広い領域の文献にもとづくプライバシー現象の研究を通じてユニークかつ洞察力ある新しいプライバシー学説を提起した点、そして、文脈依存性と一般性をともに考慮した情報時代のプライバシー侵害の新しい類型論を示したことは、評価に値すると思われる。……歴史的事例や米国の裁判例をもとに、プライバシーは期待される状態ではなく、求められるべき価値であるとする著者の論証は一考に値する。

プライバシー権やプライバシー現象に関するさまざまな分野の基本文献を踏まえた記述であるから、法学や哲学・倫理学分野のプライバシー研究者のみならず、これからプライバシー研究に手を染めようとする大学生・大学院生や、プライバシー問題に関心を有する一般読者も大いに興味を引かれ、参考になると思われる。
……
著者のダニエル・J・ソローヴはプライバシー法学者として著名で、現在ジョージ・ワシントン大学ロースクールのジョン・マーシャル・ハーラン記念法学研究教授である。また、国際的な法律コンサルタント企業/法律事務所ホーガン・ロヴェルズ(Hogan Lovells)の政策相談役でもある。2013年1月には、日本経済新聞社とYahoo! Japanが共催する、プライバシーに関する国際シンポジウムでビデオによる基調講演を行った。(オンライン版日本経済新聞で、著者の講演の要旨が報告されている……)」

 日経電子版2013年2月18日 http://bizgate.nikkei.co.jp/event/20130218/index.html
シンポジウム開催前の案内記事 http://esf.nikkei.co.jp/e/event.asp?e=00954