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2014.08.25トピックス

立岩真也『自閉症連続体の時代』

病気になったとき、たいていの人は病院に行って、診察を受け、病名が確定して、治療を受ける。けれども病気との関わりとは、それだけではない。

自閉症・発達障害・アスペルガー症候群・高機能自閉症・ADHD……。自閉症は、脳の機能障害によって起こると考えられている。けれども、そのメカニズムや治療法はいまだ解明されていないことが多い。

医学の進歩とちがう形で、「自閉症連続体」の状況を大きく変えたのは、「本」だった。自閉症や発達障害の人が、自分自身の言葉で、自らの内面を綴った本が現れたのだ。スウェーデンのグニラ・ガーランドが書いた『ずっと「普通」になりたかった』や、オーストラリア生まれのドナ・ウィリアムズの『自閉症だったわたしへ』は、自分は誰なのか、世界との間に何が起こっているのかを鮮烈な言葉で綴り、世界的なベストセラーになった。

90年代に書かれたそれらの本は日本で翻訳され、外からでは分からなかった豊かな世界を教えてくれた。そればかりではなく、「これは私のことだ」と腑に落ちて、それまでの自分の体験と照らし合わせた人が多く現れた。そして日本でも、自らが自閉症や発達障害であることを語った本が出版された。そしてそれをまた誰かが読み、本を書いた。本を介したつながりが広まっていった。

生きづらいように出来上がっている社会との折り合い方を、これらの本は問いかけた。原因をつきとめて治療するというのとは別の道を見出した当事者たちは、どんな生存の方法を編み出したのだろうか。本書はさまざまに錯綜する社会との折り合い方を解きほぐして、社会が期待する像に自分を押し込めなくても生きていける小道を教えてくれる。




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