みすず書房

ヒトラーとスターリン【新装合本】

死の抱擁の瞬間

THE DEADLY EMBRACE

判型 A5判
頁数 720頁
定価 8,800円 (本体:8,000円)
ISBN 978-4-622-09041-0
Cコード C1022
発行日 2022年3月10日
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ヒトラーとスターリン【新装合本】

第二次世界大戦中のヨーロッパ。1941年6月22日早暁、東ヨーロッパで史上最大の軍事作戦が始まった。ドイツ軍300万がソ連に侵攻した、いわゆる〈バルバロッサ作戦〉だ。その日からドイツの敗退まで4年、そしてその間にソ連の2000万の命が失われた。
スターリンはなぜ、この急襲にそれほど無防備だったのか。あらゆる情報網を通して十分な情報を得ていながら、なぜすべての忠告を無視したのか。なぜ最後の瞬間まで、ヒトラーに石油、穀物、軍事物資を供給しつづけたのか。理由は、1939年8月23日に2人の独裁者が電撃的に結んだ独ソ不可侵条約にあった。

この〈悪魔の契約〉に賭けた両者の思惑は何だったのか。本書は、BBCのドキュメンタリー制作者2人の手になる迫真のドキュメントであり、膨大な資料をもとにその背景を探り、全容の解明にはじめて挑んだ第一級の歴史読み物。
「条約締結からの22か月間を、多くの国家を駒に見立てて2人の独裁者が指した恐ろしいチェスの試合にたとえるならば、この戦争はそれぞれの軍隊を武器として戦った2人の男の死闘だった」(本書、エピローグ)

[初版2001年6月25日発行(上下巻)]

目次

謝辞
おもな登場人物

史上最大の戦線——プロローグ
1 チュートン騎士たちの道
2 哀れな友よ、あなた方はなんということをしたのですか?
3 唯一無二のベック大佐
4 独ソ関係の新時代
5 火中の栗を拾う
6 連中がむせ返るようなシチューをつくってやる
7 シベリアの冬のような微笑
8 阿呆か間抜けか
9 史上最大の賄賂
10 エヴェスト亭の晩餐
11 さっさと失敗するか、それともゆっくり失敗するか?
12 バルト海から黒海まで
13 モスクワ行き鈍行便
14 紫煙立ちこめる室内の軍事機密
15 ポーランド軍の顔には死が刻印された
16 考えるべきこと
17 我々は戦争を望む
18 不可侵条約という考え方ではどうなるか?
19 ロシア人が相手では、我々は魂までなくす
20 私は世界を手中にした
21 重大な疑問
22 私はこの武器をあの紳士諸君の手からたたき落とした
23 協定、調印さる
24 永続する条約
25 行動と反応
26 私がこれまで嘘をついたことがあるかね?
27 もうチャプリンが見られない
28 ヒトラーのアリバイ
29 大反撃
30 ある国家の死
31 第四次ポーランド分割
32 私の署名ははっきり見えるかね?
33 では何を泥棒と呼べばいいのか?
34 サンクト・ペテルスブルクのご婦人たち
35 モスクワ行き夜行列車
36 英雄譚
37 学ぶべき教訓
38 血盟
39 東に向かって開け放たれた扉
40 北欧の前菜
41 史上最大の戦略家
42 一本の骨を奪いあう二匹の猟犬
43 長く危険な任務
44 オットー、フリッツ、海驢(あしか)
45 ロシア人に負けてたまるか
46 モロトフ、ヒトラーのもとへ赴く
47 招かれざる客
48 バルバロッサ作戦
49 世界は息を殺すだろう
50 何があっても我々はあなたがたの友人でい続けるだろう
51 ドイツの盲目的道具
52 軍事史上最大の偽装作戦
53 確かな情報によれば
54 諜報機関の報告を全部鵜呑みにすることはできない
55 暗い部屋の扉を開ける
56 こんな目にあわされるいわれはない
不敗の軍隊は存在しない——エピローグ

取材協力者・資料提供者一覧
悪魔の契約、独ソ不可侵条約——訳者解説
参考文献
索引

お詫びと訂正

本書第1刷(2022年3月10日発行)の667頁最終行に、以下の誤りがございました。謹んでお詫び申し上げ、ここに訂正いたします。

(誤)
白ロシア、ミンスク近郊

(正)
西ロシア、スモレンスク近郊