死ぬふりだけでやめとけや 谺雄二詩文集
判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 384頁 |
定価 | 4,180円 (本体:3,800円) |
ISBN | 978-4-622-07830-2 |
Cコード | C0092 |
発行日 | 2014年3月20日 |
判型 | 四六判 |
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頁数 | 384頁 |
定価 | 4,180円 (本体:3,800円) |
ISBN | 978-4-622-07830-2 |
Cコード | C0092 |
発行日 | 2014年3月20日 |
群馬・ハンセン病療養所栗生楽泉園に暮す81歳の「草津のサルトル」こと谺雄二。「ライは長い旅だから」などの名詩で知られる詩人にして、ハンセン病違憲国賠訴訟の理論的支柱であり、療養所を「人権のふるさと」に変えて差別なき社会を創り出すことを志す闘士である。
本書は、彼の生涯にわたる詩・評論・エッセイ・社会的発言・編者による聞き書きを収める。
戦後、特効薬プロミンの出現によりハンセン病は治る病となったが、後遺症は残り、差別や偏見は続いた。生存への違和感を昇華させた谺の言葉には普遍の響きがある。
同時にそれらは、世界でも例のない90年にわたる強制隔離政策に対する明晰な当事者証言である。社会の外に置かれたハンセン病療養所こそは、憲法の平和と人権の理念が日本のどこよりも希求された土地であった。
父母が愛してくれた記憶ゆえに頑張れた。「鬼の顔」をもつ男の恋。「らい詩人集団」。ひきとり手のない骨壺。強制収容・強制労働・患者用重監房・断種・堕胎・病み棄てへの怒り——。
「ライとアカ」。戦後日本の差別を両翼に羽ばたいた人が、闘いを忘れた世に叫ぶ。
巻頭詩 ここに生きる
序 「鬼」の誕生
詩 鬼瓦よ
少年はいかにして「鬼」になったか?
第一章 「鬼」うたう I 柊の森にて 初期詩篇・評論・小説
初期詩編(『灯泥』より)
日本異邦のうた 右か左か 大地に寄す——三つの幻想
評論
ありのままに——無と感覚に就いて 一現象としての考察
『灯泥』当時
小説
人形
谺雄二、「家族」を語る。
家族からの愛情が私に信じる力を与えてくれた
第二章 生き抜く言葉、詩と思索の日々 エッセイ・評論 国賠訴訟以前
詩 病むならば
君等こそ平和の子に ——望学園学芸会を観て
「悲劇は喜劇」ということ
学問はからだ全体でつかもう
らいの二十五歳
大江満雄先生のことなど
自失の記
詩 出発する
「らい詩人集団」宣言
座談会「らい療養所の詩と詩運動──現状と問題点」
「らい詩人集団」の誕生
沢田五郎歌集『風荒き中』に寄せて
創造行為の実体──ハンセン氏病療養所戦後詩論
ある経過──偏見とのたたかい
谺雄二、「ハンセン病文学」を語る。
俺は砂であっちゃいけないと思った
第三章 「鬼」うたう II 熊笹の尾根にて 詩篇1951-80
鉈をとぐ(『鬼の顔』より)
コラプスの旅 猿と神様とぼく 夜 I 自画像よ この薄明り 病室 残暑 夜 II 空 雪の太郎 姉と弟 枯原にて 十五夜の月に 泪と眸 なかま 秋 黄蝶よ 朝明け 夢がかえってくる 鉈をとぐ 鬼の祭
上州はいいぞ(詩誌『夜明け』『起点』他より)
Oh Look to the peace! ——水爆から生れた一つの話 病床を戦場に 城ケ島にて 雪の夢の中で 上州はいいぞ 哄笑 病床にて 無数の眼に! ユメとボクと 年賀状を書く なぜいまらいなのか
追悼三題
告別はせず チチよ——三月十八日・東京 会議を終えて
ゆううつな行進曲(栗生楽泉園園内誌『高原』より)
ゆううつな行進曲 冬と牛の瞳と木偶 犬 茶だんすのひきだしに鼠があけた穴をみた朝 冬の瞳 嘘 山の春のスケッチ三つ 白い夜明けに 生活のなかにうたがある 栗生ケ尾根 ふぬけ 石 朝へ 五月の憂鬱 夏——即興(三〇分)詩の痛み
恋愛詩篇
鬼の恋 善意 告白 欲情 恋びとよ 海 こんな筈ではなかった! 朝未来
死ぬふりだけでやめとけや(詩誌 『らい』より)
その樹は病んでいる 失明のうた 怒り静かに 祖国へ 日曜版拡大の日に 死ぬふりだけでやめとけや アダンの島と雪の尾根と——沖縄の病友たちへの手紙 ある少女との対話——ライについて ボク
谺雄二 「恋」を語る。
誰も好きにならないと決めていた
第四章 闘う言葉 「鬼」から「人間」へ エッセイ・評論 国賠訴訟以降
詩 ライは長い旅だから
法廷意見陳述
完全な勝訴をめざして
詩 命カエシテ
堕胎児供養碑(楽泉園ガイドブックより)
ゲゲゲの鬼太郎考
連帯することの意味
こんにちは、みちのくちゃん
詩 重監房
人権のふるさと論
結び いのちの証を見極める
詩 いのちの証
編者あとがき
谺さん、死ぬふりだけでやめとけや──千年先まで言葉を届けるために
資料
私の日本共産党
年譜