みすず書房

身体の使用

脱構成的可能態の理論のために

L’USO DEI CORPI

判型 四六判
頁数 512頁
定価 6,380円 (本体:5,800円)
ISBN 978-4-622-07964-4
Cコード C0010
発行日 2016年1月25日
備考 現在品切
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身体の使用

存在論は西洋の歴史的命運が詰めこまれ、言語活動と世界が歴史的に分節化される根源的な場所である。アガンベンは、「使用」という概念を起点に、哲学的考古学によって、現代なおも存在論にアクセスが可能かを確かめていく。プラトン、アリストテレス、ストア主義、スコラ哲学、スピノザ、ライプニッツ、ベンヤミン、ハイデガー、フーコー。アガンベンが遡るこうした思想家にとっても、存在論は世界を自分自身にむかって開く道の研究であった。
今日、存在は衰弱し、消滅していくなかで、剥き出しの実存そのものを残している。〈生の形式〉とは、わたしたちがその形式からけっして切り離さない、なにものかを剥き出しの生として孤立させ分離したままにしない生のことである。人間は生きるなかでつねに幸福が問題となっているから、それは政治的な生として構成される。
《ホモ・サケル》プロジェクトは、政治の場所と本源的な構造を問い、「統治の奥義」を明らかにしようとしてきた。20年間、書きつがれ、本書をもって「放棄される」。
いつであれ「時代の今」を生きる読者のもとに、この終わることのない迫真の思想が届くことを。

目次

まえおき
プロローグ

第一部 身体の使用
1 働きを欠いた人間
2 クレーシス
3 使用と配慮
4 世界の使用
5 自己の使用
6 習慣的な使用
7 生命ある道具と技術
8 自分のものとして所有することのできないもの
インテルメッツォ I

第二部 存在論の考古学
1 存在論的装置
2 ヒュポスタシスの理論
3 様態的存在論のために
インテルメッツォ II

第三部 〈生の形式〉
1 分割された生
2 その形式から切り離すことのできない生
3 生きている観照
4 生命は生きることのなかで産み出される形式である
5 スタイルの存在論のために
6 単独者のもとへの単独者の亡命
7 《われわれはそのようにおこなう》
8 働きと働かないでいること
9 エルの物語

エピローグ 脱構成的可能態の理論のために

訳註
訳者あとがき
文献目録
人名索引

書評情報

美術手帖
2016年5月号

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