みすず書房

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『統合失調症』 1 /『老いの心と臨床』

中井久夫『統合失調症』 1 /竹中星郎『老いの心と臨床』
《精神医学重要文献シリーズ Heritage》

《精神医学重要文献シリーズ Heritage》では、現代精神医学の発展を支えてきた医学者による名著を中心に、人間理解への卓越した視点に基づく著作を編集・刊行していきます。精神医学界の未来を担うべき若き医学徒を読者対象に、今日までの先駆者の営為を残し語り継いでゆくため、時を経てなお魅力を持ち続けるシリーズを目指します。
2010年2月の第2回配本では、中井久夫『統合失調症』1、竹中星郎『老いの心と臨床』の2冊を刊行いたします。

『統合失調症』1は、1970年代に発表され、まさに統合失調症の研究と治療の転換を告げた著者の統合失調症論集です。
本書では、主に発病過程に注目した論文を集成。長期間にわたって患者のあらゆる変化に着目し、「あせり(焦慮)」「ゆとり(余裕)」といった著者独特の病状・病期のとらえ方を世に問うた記念碑的論文ばかりです。巻末の「解説」には著者自身がいかに精神科医としてスタートを切ったか、そしてなぜ寛解(回復)過程に注目するに至ったか、を書いています。
その思考が結実し、寛解過程に重点をおいて書かれた論文は、本シリーズの続刊『統合失調症』2(2010年8月刊行予定)に収録予定です。

『老いの心と臨床』は長年にわたって老年者の精神科臨床を続けてきた著者による、老年期臨床の心得をまとめた本です。
高齢社会を迎えた今日、本書の初版が刊行された1983年当時より、老年者の心の問題はますます重要性を増しています。老年精神医学の教科書には載っていないような老年者への態度や気配りは、平易な語り口で書かれ、私たち医師でない人でも日常生活・介護に役立てられるような内容になっています。
著者自身による巻末の「解説」は、初版執筆当時の背景から今日の老年精神医学を再考させる、現場を生きる医師ならではの力強い臨床感覚が伝わってきます。

《精神医学重要文献シリーズ Heritage》の次回刊行は2010年5月下旬を予定しております。続刊にもご期待ください。

精神医学重要文献シリーズ Heritage

激動の20世紀を精神科医として生きた医学者たちの選りすぐりの著作を新編集で刊行いたします。著者のラインナップは、いずれも国際的診断基準がわが国に導入される前から医師として臨床研究に携わってきた歴戦の臨床家ばかりです。次代を担う若き精神医学徒のため、実践的かつ魅力的な続刊を用意してまいります。

[シリーズ概要]
  • 各巻に新たな解説を付す
  • 各巻四六判・上製 160-250頁
  • 予価各3200円
  • 3カ月ごとの刊行を予定
[第1回配本・既刊]
村上仁『統合失調症の精神症状論』
山下格『誤診のおこるとき』
[以下続刊]
井村恒郎『失語症論』
笠原嘉『妄想論』
中井久夫『慢性期・寛解期統合失調論』 ほか



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