みすず書房

映像が動き出すとき

写真・映画・アニメーションのアルケオロジー

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 368頁
定価 7,920円 (本体:7,200円)
ISBN 978-4-622-09054-0
Cコード C0074
発行日 2021年11月16日
備考 在庫僅少
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映像が動き出すとき

イメージが動くとは。
「アトラクションの映画」の概念で、映画という枠組みを超え映像文化研究に大きなインパクトをもたらした初期映画研究・メディア史研究の泰斗ガニング。その思考はさらに深化して、鮮やかな〈動き〉の視覚文化論を展開し、写真・映画・アニメーションにわたる映像文化圏全体を見晴らす。
映画や写真は長い間、インデックス性を本質とするものとして捉えられてきた。ベンヤミン、バザン、バルト。対して、映像技術のデジタル化した今日、「映画はアニメーションの一ジャンル」とマノヴィッチは大胆な命題を提起した。ガニングはこの衝撃を正面から受けとめつつ反論する。問題は、写真的なリアリティか加工可能なグラフィックかの二項対立ではないのだ。
驚くべき該博な知識に基づき、膨大な論考を精力的に執筆し続けているが、ガニングにはこれまでまとまった論文集がなかった。このたび日本語版独自編集で、英語圏にもまだない初の一書が生まれる。2000年代以降発表されたおよそ100にものぼる中から精選。図版多数。

 

目次

はじめに  長谷正人
凡例

第一部 遊戯するイメージ
第1章 視覚の新たな閾――瞬間写真とリュミエールの初期映画
未来の前夜(イヴ)について
アマチュア写真文化──知のまなざしと自己イメージ
悪戯好きか、規律訓練か? アマチュア写真文化の危機
発明なき未来?

第2章 インデックスの何が問題なのか? あるいは、さまざまな偽造写真

第3章 継起性の芸術――コミックを読むこと、書くこと、見ること
メディアの雑種性としてのパノラマ──展開するイメージ
ページ上での動きのフレーミング
線の間で書くこと
エピローグ──未来の穴居人

第二部 〈動き〉としてのイメージ
第4章 インデックスから離れて――映画と現実性の印象
インデックス的リアリズムと映画理論
インデックスを越えて──映画的リアリズムとメディウムの混淆
私を本当に動かすものは……
メッツと映画的運動
ファンタジーの現実的(リアリスティック)な運動

第5章 動きのアトラクション――近代的表象と運動のイメージ
リュミエールと運動ジャンル
ファントム・ライド

第6章 静止したイメージと動くイメージのあいだの戯れ――19世紀の「哲学玩具」とその言説
視覚の持続──視覚とその誤謬
視覚と戯れること──ソーマトロープ
生命の輪転──明滅する動くイメージ
動くイメージ──錯覚(イリュージョン)以上のもの

第三部 アニメーションという魔術
第7章 変容=変形する(トランスフォーミング)イメージ――運動とメタモルフォーゼというアニメーションの起源
写真像の外へ──変容=変形するイメージ
「この本には、あなた方がお考えのように、絵が描かれているわけではございません」──ブロウ・ブック
手に持つ運動機構──フリップ・ブック
メタモルフォーゼからモーフィングへ──現代の魔術としての変容する映像

第8章 瞬間に生命を吹き込むこと――アニメーションと写真の間の秘められた対称性
連続するアニメーションの不連続な写真
アニメーションIとアニメーションII──映画的な動きの働きと遊び
写真と瞬間の生産
瞬間──動きの否定、あるいはその起源?
哲学的ジレンマ、視覚的解決

第9章 ゴラムとゴーレム――特殊効果と人工的身体テクノロジー
セレブたちの新秩序
それは「ゴーレム」じゃなくて「ゴラム」だよ、君は間違ったFAQにいる
テクノロジーとオートマトン──人造人間
モーション・キャプチャ、人間の身体をトレースすること
ゴーレム/ゴラムの創造と破壊
アニメーションと想像の身体

訳者あとがき
訳者一覧
原著書誌一覧
索引

原著書誌一覧

第1章
“New thresholds of Vision: Instantaneous Photography and the Early Cinema of Lumière.” In Impossible Presence: Surface and Screen in the Photogenic Era, ed. Terry Smith, pp. 71–100. Sidney: Powers Publications, 2001.

第2章
“What’s the Point of an Index? or, Faking Photographs.” In Still Moving: Between Cinema and Photography, eds. Karen Beckman and Jean Ma, pp. 23–40. Durham, N. C.: Duke University Press, 2008. First published in Nordicom Review, vol. 25, Issue 1–2 (August 2004), pp. 39–49.

第3章
“The Art of Succession: Reading, Writing, and Watching Comics.” Critical Inquiry(University of Chicago Press), vol. 40, no. 3 (Spring 2014), pp. 36–51.

第4章
“Moving Away from the Index: Cinema and the Impression of Reality.” In Film Theory Reader: Debates & Arguments, ed. Marc Furstenau (Routledge, 2010), pp. 255–69. First published in differences, vol. 18, no. 1 (2007), pp. 29–52.

第5章
“The Attraction of Motion: Modern Representation and the Image of Movement.” In Film 1900: Technology, Perception, Culture, eds. Annemone Ligensa and Klaus Kreimeier, pp. 165–73. New Barnet, Herts: John Libbey Publishing Ltd., 2009.

第6章
“The Play between Still and Moving Images: Nineteenth-Century ‘Philosophical Toys’ and their Discourse.” In Between Stillness and Motion: Film, Photography, Algorithms, ed. Eivind Røssaak, pp. 27–43. Amsterdam: Amsterdam University Press, 2011.

第7章
“The Transforming Image: the Roots of Animation in Metamorphosis and Motion.” In Pervasive Animation, ed. Suzanne Buchan, pp. 52–69. New York and London: Routledge, 2013.

第8章
“Animating the Instant: the Secret Symmetry between Animation and Photography.” In Animating Film Theory, ed. Karen Beckman, pp. 37–53. Durham and London: Duke University Press, 2014.

第9章
“Gollum and Golem: Special Eects and the Technology of Artificial Bodies.” In From Hobbits to Hollywood: Essays on Peter Jackson’s Lord of the Rings, eds. Ernest Mathijs and Murray Pomerance, pp. 319–49. Amsterdam: Rodopi, 2006.