みすず書房

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『翻訳学入門』

ジェレミー・マンデイ 鳥飼玖美子監訳

翻訳学とは、翻訳の現象と理論の研究に関する学問分野であり、言語学、比較文学、コミュニケーション理論、そして、哲学、カルチュラル・スタディーズをも含みます。
こうした多様性ゆえ、翻訳学を学習・教授するにあたって最大の問題の一つは、この分野の研究の大半が、きわめて広範囲の書物や学術誌に拡散していることにあります。したがって、翻訳というテーマで多方面にわたる主要文献を集め解説した「リーダー」が必要とされていますが、これまでは、その贅沢な要求を満たす解説書はほとんど存在していませんでした。

本書は、そうした課題に応えるため、著者と訳者が心血を注いで完成させた書物です。翻訳、翻訳学、翻訳理論を扱う学部・大学院コースの教科書として使用されることを熟慮して書かれています。同時に、研究者、教師、プロ翻訳者を対象に、確固たる本格的参考書となることを念頭に。
読者が、翻訳にかかわる特定の問題をより深く理解し、関心のある分野を自力で読み進められるよう配慮し編集されました。翻訳研究に携わる研究者や外国語の専門家はもちろん、プロ翻訳家の実践にも大いに役立つ刺激的な一冊です。

マンデイ『翻訳学入門』の特色
  • 発展めざましい翻訳分野の主要研究を精確に解説。
  • 章ごとに代表的理論を取りあげ、様々なアプローチを検証。
  • 扱う例文は、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語など幅広い言語を採用、日本語訳を添えた。
  • バランスの取れた例示。きわめて広範なテクストを分析――聖書、文学作品、詩、映画字幕、欧州連合・ユネスコの文書、旅行パンフレット、児童向け料理本、『ハリー・ポッター』の翻訳、等々。
  • 参照に便利な構成。各章は、「主要概念・用語の解説」「翻訳つき例文」「事例研究」「章のまとめ」「参考文献案内」から成る。
  • 世界中の翻訳コースで使用されているベストセラー教科書。
鳥飼玖美子「監訳者あとがき」より

「本書は、フランツ・ポェヒハッカー『通訳学入門』の姉妹編とも呼ぶべきものであり、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科の翻訳プロジェクトとして実現した。……翻訳に関する書だからこその重荷もあった。訳出には神経質にならざるをえず、ひとつひとつの単語、「てにをは」、句読点に至るまで拘泥せざるをえなかった。読者にとって読みやすく分かりやすい日本語をめざしながらも、原文に忠実であること、とりわけ内容が正確であることを期した。……各メンバーは、原書に登場する文献を綿密に点検しながら訳出に取り組み、その努力の一端は充実した訳注に表れている。」




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