みすず書房

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富山太佳夫『文学の福袋(漱石入り)』

「読み始めて、息をのむ。面白い。間違いなく、ワクワクするほど面白い本である。問題は、この痛烈な面白さをどう伝えたらいいのかということだろう」

「この小説の特徴を手短に伝えたいと思うのだが、うまい言葉が見つからない。傑作、稀に見る傑作――そういうことではあるのだが、読みながら激しく揺さぶられてしまう自分の気持ちをどう表現すればいいのだろうか」

「さて、不思議な本である。あれこれ思いめぐらしてみても、それらしい類書が思い浮かばない」

「変な小説、二冊とも。この手の作品を書評するときには淡々といくしかない」

「ちょっと変わった本。というか、いや、相当に変わった本と言うべきだろうか」

「眼の前に一冊の本があるとしよう。そして、その本の目次の一部分を抜き出して並べてみることにしよう」

「観劇という言葉があるのに対して、観詩や観小説という言い方はどうも存在しないようだ。これが読むという表現になると、詩にも小説にも戯曲にも通用する。なんだか不公平な気がしないでもないが」

「理性、啓蒙主義、フランス革命、産業革命とならべると、18世紀のヨーロッパ文明の核心はおさえたような気分になってしまったものだ。なにしろ歴史の教科書にそう書いてあったのだから。しかし、今ではそれが通用しない」

「最初にことわっておくべきかもしれないが、エステとかビューティー・サロンなるものに対する関心は、私の場合、ゼロである。皆無、絶無、からっきし無い」

「じっくりと本の読める生活が私の理想ではあるが、そんな生活は夢のまた夢。職業柄、本は同時に何冊も併行して読む。別にそれで不満があるわけではないが、何かのはずみで、他の本は次々に交代しているのに、数ヶ月もつき合う本が出てくることがある――というのが、出版されて半年近くにもなる本を書評することへの言いわけでもあり、それでも書評に値する本であることの予告」

すてきな書評の条件はいろいろとあるだろうが、まずは〈書き手の芸〉がものを言うのではないか? 読者を引き寄せる出だしの文句、勢いのある優雅あるいは辛辣な口調。ブリリアントな110本を超す書評を集成。あわせて、全集・雑誌や図書館をめぐるエッセイ、名探偵ホームズやダーウィン、さらに漱石『明暗』を考察した長編論考など、文化・思想史に作家論。年末年始の読書の楽しみに役立つ、5倍はお得な大入り袋。




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