みすず書房

レヴィ=ストロース『神話論理』の森へ

判型 四六判
頁数 264頁
定価 3,300円 (本体:3,000円)
ISBN 978-4-622-07208-9
Cコード C1010
発行日 2006年4月14日
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レヴィ=ストロース『神話論理』の森へ

構造主義人類学の創始。「ブリコラージュ的思考」「野生の知」など新鮮なパラダイムの主導。炯眼の近代文明批評。しかしこれらの言辞を並べても、20世紀思想史に聳え立つクロード・レヴィ=ストロースの業績を、いまだ捉えきれてはいないのだ。
原書から40年をへて待望の日本語訳の成った、その浩瀚なライフワーク『神話論理』を読むために。なによりも、南北アメリカ両大陸にまたがる壮大な神話の森を楽しく彷徨するために。ガイドブックとして編まれたこのコンパクトな一書を手に、緑なす神話の森へ分け入っていただければとねがう。
執筆は中沢新一、M・エナフ、渡辺公三、木村秀雄、内堀基光、鈴木一誌、港千尋、安冨歩、池澤夏樹。おのおの専門を異にしながら、ナチュラリストとしてのみずからの経験をふまえて『神話論理』を読み込む。文化人類学から芸術、文学、思想、動物学、認知科学、アフォーダンス、複雑系まで、いや、ここに書かれていないさらなる多様な読みの可能性もが眼前に開けてくるだろう。
2005年秋、97歳の誕生日を目前にしたレヴィ=ストロースへのオリジナル・インタヴューも所収。

(巻末の「主要著作目録」を重版第2刷において改訂。祝99歳、100歳の折や追悼、没後出版などによって近年増えた書誌を加え、とくに日本語で読めるレヴィ=ストロース文献の書誌をほぼ網羅的に案内) 

目次

I レヴィ=ストロースの世界
『神話論理』前夜……中沢新一
『神話論理』——言語学と音楽のあいだで……マルセル・エナフ
世界はリズムに満ちている……渡辺公三
アマゾニアの動物たち……木村秀雄
人類を見やる距離──レヴィ=ストロースのまなざしの遙かさについて……内堀基光

II 『神話論理』——テクストの生成
レヴィ=ストロース・インタヴュー 2001年秋パリ……聞き手・渡辺公三
『神話論理』と原典テクスト……木村秀雄

III レヴィ=ストロースからの創造
重力の行方——レヴィ=ストロースからの発想……鈴木一誌
超理性の翼……港千尋
記号の身体性——複雑系科学から見た『野生の思考』……安冨歩
『野生の思考』と物語の擁護……池澤夏樹

レヴィ=ストロース主要著作目録 (作成・泉克典)

注の追加のお知らせ


本書所収の中沢新一「『神話論理』前夜」24ページに掲載されました図に、つぎの注が、次回重版の機会に追加されます。

レヴィ=ストロースの「神話変換の定式」は、黒川五郎『ティー・セラピーへの招待』(川島書店、二〇〇五)一〇九頁ですでに図示されている。

重版第2刷で巻末「主要著作目録」を改訂

巻末の「レヴィ=ストロース主要著作目録」(泉克典作成)を重版第2刷の機会に改訂しました。祝99歳、100歳の折や、追悼、没後出版などにより近年増えた書誌、ことに和訳された文章についての書誌を加えて、ページも4ページ増とし、日本語で読めるレヴィ=ストロース文献をほぼ網羅する案内となっています。

クロード・レヴィ=ストロースの主著『神話論理』四部作(邦訳全5冊)完結

『神話と意味』——彼自身による「神話論理」入門

彼自身による『神話論理』入門というべき、レヴィ=ストロース『神話と意味』も刊行されています。ラジオ放送をもとにした掌編です。