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C. レヴィ=ストロース『神話論理』

MYTHOLOGIQUES 全5冊のご案内

構造人類学の探究の頂点、20世紀思想の金字塔。クロード・レヴィ=ストロースの主著『神話論理』四部作(邦訳全5冊)が、IV-2 『裸の人』2 の翻訳刊行をもって完結いたしました。

――『神話論理』の各巻は数百頁の大部なものです。それにもかかわらず、『裸の人』の最後のところで、あなたはその全体が均質な一つの著作である、と言っていますね。
――ただしこういうことはあったのですよ。三巻目を書き終えたときに、私はこの調子ではとても終わりにすることはできまいと思ったのです。なにしろ、全部を書き終えるにはまだ数巻は必要だったでしょうからね。そこでわたしは決心したのです。もうあと一巻で、つまり第四巻で打ち切りにしよう。そしてその第四巻に、私がまだ言い残していることを、たとえ暗示の形であれ、将来の研究に対する示唆という形であれ、全部書き込んでしまおう、とね。(『遠近の回想』237ページ)
――『生のものと火を通したもの』、『蜜から灰へ』、『食卓作法の起源』、以上の三つは一連の意図、つまり自然から文化への歩みを示す、という意図を表わすものでしょうが、最後の『裸の人』は……
――……最初の出発点に戻っているのですよ。「裸のもの」(le nu)は、文化との関係で言えば、自然に対する「生のもの」(le cru)と同等のものですからね。(『遠近の回想』240ページ)

エリボンがレヴィ=ストロースにインタヴューした『遠近の回想』のなかに、このように明晰な自著解説がありますが、最終巻『裸の人』2の巻末には、昨秋100歳の生涯を静かに閉じたレヴィ=ストロースの仕事をたどりシリーズ全体を解説する「訳者あとがき」がそえられます。

■各巻内容

生のものと火を通したもの

神話論理 I
序曲/第一部 主題と変奏/第二部 I 行儀作法についてのソナタ II 短い交響曲/第三部 I 五感のフーガ II オポッサムのカンタータ/第四部 平均律天文学/第五部 三楽章からなる田舎風の交響曲
早水洋太郎訳 8400円

蜜から灰へ

神話論理 II
序/音合わせのために/第一部 乾いたものと湿ったもの/第二部 カエルの祝宴/第三部 八月は四旬節/第四部 暗闇の楽器
早水洋太郎訳 8820円

食卓作法の起源

神話論理 III
序/第一部 バラバラにされた女の謎/第二部 神話から小説へ/第三部 カヌーに乗った月と太陽の旅/第四部 お手本のような少女たち/第五部 オオカミのようにがつがつと/第六部 均衡/第七部 生きる知恵の規則
渡辺公三・榎本譲・福田素子・小林真紀子訳 9030円

裸の人 1

神話論理 IV-1
序/第一部 家族の秘密/第二部 こだまのゲーム/第三部 私生活情景/第四部 地方生活情景
吉田禎吾・木村秀雄・中島ひかる・廣瀬浩司・瀧浪幸次郎訳 8400円

裸の人 2

神話論理 IV-2
第五部 苦い知/第六部 源流にさかのぼって/第七部 神話の黎明/終曲
〔付・I-IV全巻神話索引〕
吉田禎吾・渡辺公三・福田素子・鈴木裕之・真島一郎訳 8925円




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