
2014.02.10
川本徹『荒野のオデュッセイア』
西部劇映画論
ひとつでは多すぎる
2014.01.24
正月の楽しみは、まことに芸のない話だが、やはり〈箱根駅伝〉を見ることだろうか。毎年、それぞれ見所があって、退屈しない仕掛けになっている。
しかし、今年はどうしてか、素直に一喜一憂できなかった。どこの大学が優勝しようが、それは関係がない。勝敗にこだわるのは、大学関係者か卒業生くらいであろう。われわれ第三者は区間新記録や途中棄権や山登りのデッドヒートにじっと見入るのである。
スタートして箱根に登って大手町まで帰ってくる。どうも、この長丁場が切れ切れになって、区間単位でまずドラマが終結してしまい、一つの流れにならないのだ。箱根の山で一つの大きなドラマが終わり、翌る日はまた別のドラマが始まる。そう、往と復はまったく別の競争なのだ。
人生五十年、といった時代は、単線でよかった。それしか走れなかったが、いまや、人生八十年である。単線ではもたない。折返してくる複線がいる。ものの見方にしても、若いときの一方的な思考では、後半で息切れする。復路の世界はほとんど新世界である。
人生は一生ではなく、二生になる。そう考えるのが人生複線の思想である。
(182頁)
この本がもうちょっと早く出ていれば、いらいらせず、心穏やかにテレビを見ていられただろう。残念である。
2014.02.10
西部劇映画論
2014.01.24
藤田祐訳