みすず書房

『丸山眞男話文集 続3』

丸山眞男手帖の会編[全4巻]

2014.11.11

「29年前、学生だった筆者を含む二十数人の勉強会に出席した71歳の丸山は、よくしゃべった。専門の政治思想史の話に加え、雑談も記憶に残る。」
(石田祐樹、『朝日新聞』2014年10月20日「文化の扉」より)

本シリーズ『丸山眞男話文集』『丸山眞男話文集 続』の企画は、「よくしゃべる」丸山に一つの焦点をあてており、「話文集」という、かつてないシリーズ名に、われわれ編者、出版社の思いが込められている。ちなみに、石田氏のいう勉強会は、『話文集 2』に「方法論・思想史・ファシズム――早稲田大学丸山眞男自主ゼミナールの記録 第2回(1985年3月)」として収録されている。
さて、本巻『丸山眞男話文集 続3』でも、丸山のおしゃべりを多数収録している。特に安東仁兵衛、石川真澄、岩見隆夫、筑紫哲也、堤清二との「楽しき会」の記録3編では、その面白さ、深さが臨場感をもって伝わってくる。

福沢諭吉をテーマに「成熟した政治的思考です。一般論としては両方必要なのです。どっちが日本に欠けているのか。道徳では西洋人に負けないのだと、あとのほうで言います。何で負けているのか。何で東洋が西洋に圧倒されているのか。知的活動で圧倒されているのだということです。……それで独立が危なくなっているという議論になるわけです。」(「『文明論之概略』巻之三第六章「智徳の弁」を読む」)と、専門の政治思想史を語る。

また、「新聞を見て、いつから「集団的自衛権」という言葉を使うようになったのか。自衛権というのは国家の自衛権だけで、集団的安全保障なの、今まで使っていたのは。……「集団的自衛権」なり地域的安全保障というものは軍事同盟とどこが違うのかということを、どうして誰かが国会で質問しないのか。」(「「脱亜論」、日本浪漫派、湾岸危機、「日韓併合」、「集団的自衛権」の欺瞞性」)と、1990年の時点で警鐘を鳴らしている。
ほか、国際連合、憲法第九条、クラシック音楽と音、リーフェンシュタールなど、幅広い話題で盛りだくさんの内容となっている。

当初、この第3巻をもって2014年11月完結とお知らせしましたが、新たに対談や、『丸山眞男書簡集』未収録の書簡(埴谷雄高、野間宏、古在由重宛ほか)が発見され、全4巻に変更いたします(第4巻は2015年3月下旬刊行予定)。