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2016.04.13トピックス

「訳者あとがき」とインタヴュー記事「どんな町にも“知の広場”を」

アントネッラ・アンニョリ『拝啓 市長さま、こんな図書館をつくりましょう』

訳者あとがき

萱野有美

アントネッラさんの一日は、中庭の水遣りから始まる。四畳半程の中庭には、バジル、ローズマリー、サルビア、エストラゴン、ミント、アロエ、オリーブ、枇杷、ジャスミン、バラ、朝顔、ブーゲンビリアなど約30種類の植物が溢れている。どの植物も、元気良く自由に枝葉を伸ばし、季節ごとにいろいろな色の花を咲かせる。こうして朝、中庭の手入れをするアントネッラさんには、年季の入った一台のポータブルラジオと毛足の長い一匹の猫が付き添う。ひとつひとつ植物の具合を見終えると、キッチンに向かい、やかんを火にかける。沸騰するまでの間、キッチン脇のミニテーブルに座りiPadを開く。図書館アドバイザーとしてイタリア中を飛び回る彼女には、毎日ちょっとした相談事から講演依頼までさまざまなメールが届く。スケジュールを確認し、何件かのメールに簡単な返信をする。お湯が沸き、ティーポットにお湯を注ぐ。最近のお気に入りはほうじ茶である(生まれも育ちもイタリアだが朝一番のコーヒーは飲まない)。そして彼女の暮らすボローニャのMUJIで見つけた白磁の湯呑みを手に、中庭を眺めながらいつもの朝のひと時を迎える。その間もラジオは各紙朝刊の一面記事を伝え、猫は足元に居場所を見つける。図書館員でなければ庭師になっていたというアントネッラさんは、今では自分を図書館計画の「配管工」と呼ぶ。さて、今日訪れる図書館からは、どんなSOSが寄せられているだろう?

この本は、イタリアの図書館アドバイザー、アントネッラ・アンニョリの『知の広場』(みすず書房、2011年)につづく二冊目の邦訳である。ただし、その内容はイタリアの図書館専門出版社から刊行された以下の三冊『拝啓、市長さま 図書館の話をしましょう』(Caro sindaco, parliamo di biblioteche, Editrice bibliografica, 2011, Milano)、『私がほしい図書館――空間、創造、参画』(La biblioteca che vorrei. Spazi, creatività, partecipazione, Editrice bibliografica, 2014, Milano)、『子どものための図書館』(Biblioteca per ragazzi, Associazione italiana biblioteche, 1999, Roma)を合わせ、日本の読者向けに編集したものである。

アントネッラさんは、『知の広場』の邦訳出版後、日本の図書館の現状に強い興味をもつようになった。2013年にはご本人の希望が叶い、約3週間で13カ所を廻る講演ツアーを行いながら、日本各地の図書館職員・関係者、書店員、市民団体、市役所職員、司書を志す学生、公共空間の設計にたずさわる建築家の方々と熱のこもった懇談の機会を得た。講演会に来られた方はすでにご存知だろうが、彼女がどのように図書館の世界と出会い、どのように図書館とともに働いてきたのか、次頁のインタヴュー記事からその片鱗を知ることができると思うので、訳者あとがきに代えて掲載する。なお、この記事はせんだいメディアテークでの伊東豊雄氏との対談「知の広場とみんなの家」の際に、資料として配布したものである。

copyright Kayano Yuumi 2016

インタヴュー記事

「どんな町にも“知の広場”を」(PDFファイル、3.56MB)[別ウィンドウで開きます]




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