みすず書房

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内田繁『戦後日本デザイン史』

「人名索引」520人分をつくり終えてためいきが出た。
戦後日本のデザインは、なんて熱く、豊かだったのだろう。
小さな喫茶店の内装から始まったインテリア・デザイン。
《スーパーカブ》《トヨペット・コロナ》《スバル360》が登場した時のかっこよさ。
デザイナーやアーティストの総力戦だった東京オリンピックと大阪万博。
劇場を飛び出したアングラ演劇のポスター群。
デザイン界全般を牽引した巨星・田中一光の活躍。
「春なのにコスモスみたい」
「ランボオ、あんな男、ちょっといない。」──
資生堂、サントリー、西武百貨店の宣伝の魅力。
モノよりイメージを売ったバブル期の企業戦略と、それを享受した老若男女。
ISSEY MIYAKEやヨウジ・ヤマモトの世界デビュー。

いま、かつてと同じことができるだろうか。
街や服やコピーに、あんなにときめくだろうか。

著者の内田繁は戦後のデザインの現場を生きてきた。
本書は、戦災の焼け野原から始まり、
東北大震災の以後の「いま」に立ち、
「これからのデザイン」のあり方を呼びかける。
「古きをいまに再生し、未知をかたちで示す」デザインという分野に
かかわるすべての人に向けた渾身のエール。
「こんな本、ちょっとない。」




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