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『科学というプロフェッションの出現』
ギリスピー科学史論選 島尾永康訳
1951年、著者ギリスピーの初めての書籍が刊行される。タイトルは『創世記と地質学――イギリスにおける科学思想と自然神学と社会思想の関係についての研究』(GENESIS AND GEOLOGY: a Study of the Relations of Scientific Thought, Natural Theology, and Social Opinion in Great Britain, 1790-1850)。このダーウィン以前の科学と宗教の相克をあつかったデビュー作の書名に、ギリスピーの関心領域は、すでに必要十分にあらわされている。すなわち、科学と社会の相関である。
科学の専門化、社会科学と自然科学、産業経済と実験科学、文学思想と科学的啓蒙……本書に収録されたこれらの仕事は、科学研究が思想家によるそれから、歴史家によるそれへと変貌する、端緒に書かれたことにも注目したい。ギリスピー以前の科学研究は、主としてカッシーラー、バシュラール、コイレといた、哲学を素養とする研究者によって担われてきた。それに対して、ギリスピーの筆致は、明らかに実直な歴史家のそれである。
ギリスピーがプリンストン大学に科学史・科学哲学プログラムを立ち上げたのが、1960年。その2年後には、同大学の同僚であるトマス・クーンの『科学革命の構造』が出版される。まさに科学の新しい歴史的研究手法がこの時期に誕生したともいえる。
科学研究の新時代を開拓した著者の、手堅いながらも、広範な論述を、ここに初めて論集としてお届けする。
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