みすず書房

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C・C・ギリスピー『客観性の刃』

科学思想の歴史[新版] 島尾永康訳

「本書は、第二次大戦後に急成長したアメリカ科学史学界から出た最初の総合的近代科学史であるが、その後、類書が出ていないので、最初にして唯一の書物といえる。ガリレオからマクスウェルとメンデルまでの古典科学の歴史を、たんなる専門事項の連続ではなく、創造的活動として示そうとするものである。大科学者と重要問題のみが選ばれ、論述はしばしば微に入り細をうがったものになっている。

本書は、近代科学はガリレオに始まるとしているが、ガリレオ前のコペルニクスとケプラーも詳細に論じ、また古典科学はアインシュタインで終わるとしているので、ローレンツ、マッハ、アインシュタインをもエピローグで論じている。社会史的な科学史がいかに現代の趨勢であろうと、科学思想史と知的歴史を追究した本書の価値は失われないと思われる。全篇を貫いている本書のテーマは、一、古典科学史の形成。二、科学者人物論。三、科学と文化のかかわり、および科学による人間疎外である」
(島尾永康「訳者あとがき」)

1960年、プリンストン大学大学院に、科学史・科学哲学プログラムを創設した著者が、その講義をもとに科学の歩みを鳥瞰した本書は、科学史の古典として、そして類書なき独立峰として、いまもって輝き続けている。
科学の史的理解に欠かせぬ基本書を、ここに新版としてお届けする。




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