
2018.08.07
脱北者とオリンピックをめぐる小説は、朝鮮半島の現実直視、本音全開。そして哀しい。
チョン・スチャン『羞恥』 斎藤真理子訳
「何も保証されていない時間の中を歩いていくことなんだな、生きるというのは。」 頁に指がはりつく。読み出したら止まらない小説である。 舞台は韓国の東南アジアからの…
2018.08.07
チョン・スチャン『羞恥』 斎藤真理子訳
「何も保証されていない時間の中を歩いていくことなんだな、生きるというのは。」 頁に指がはりつく。読み出したら止まらない小説である。 舞台は韓国の東南アジアからの…
2018.08.02
ゴウリ・ヴィシュワナータン『異議申し立てとしての宗教』 三原芳秋編訳 田辺明生・常田夕美子・新部亨子訳
(編訳者の「まえがき」より抜粋してご紹介いたします) 「まえがき」より 三原芳秋 本書は、米国コロンビア大学の英文学・比較文学科で長年にわたり教鞭をとるゴウリ・…
2018.07.27
芥川喜好『時の余白に 続』
読売新聞人気コラムの書籍化第二弾。世相に息づく美を手がかりに、本当の豊かさとは何かを深沈と問いかける72篇。 「あとがき」より一部を抜粋してここに転載いたします…
2018.07.26
読み広げる 2018年夏の読書のご案内
おなかいっぱい食べることを夢見ながら。16歳の少女レーナの日記 フランクル『夜と霧』について 精神科医ヴィクトール・E・フランクルが、ナチス・ドイツの強制収容所…
2018.07.23
G・フランシス『人体の冒険者たち――解剖図に描ききれないからだの話』 鎌田彷月訳 原井宏明監修
小説のようなケースヒストリーに古今東西の人体をめぐる逸話を交えた、読む人体図鑑とも呼べる医療エッセイ。第1章を以下でお読みになれます。 1 魂に神経外科手術を …
2018.07.13
ロラン・バルト『声のきめ――インタビュー集 1962-1980』松島征・大野多加志訳 [17日刊]
まず書名のことから説明したい。「声のきめ」(Le grain de la voix)という書名は、バルトの没後一年目にスイユ社がこのインタビュー集を刊行したとき…
2018.07.10
[第7回配本・全11巻]
全巻ご案内はこちら 『中井久夫集』には全巻、最相葉月による「解説」がつきます。 中井久夫と河合隼雄に焦点をあてた『セラピスト』(新潮社)でも知られるすぐれたノン…
2018.06.28
D・シルヴェスター『ジャコメッティ 彫刻と絵画』武田昭彦訳
「私はシルヴェスターとやったことをやっている、つまり輪郭の全部を消すことだ」 (1960年8月17日、矢内原伊作『完本 ジャコメッティ手帖 II』みすず書房 2…
2018.06.26
Ph・クリルスキー『免疫の科学論――偶然性と複雑性のゲーム』矢倉英隆訳
感染症に関する本をいくつか作った際に、免疫にがぜん興味がわいてきて、解説書をいくつか読んだ。B細胞、細胞傷害性T細胞、MHC、マクロファージ、CD4、CD8、抗…
2018.06.08
『エコラリアス――言語の忘却について』 関口涼子訳
(巻末に付された周到な「解説」を以下に抜粋転載いたします) 解説(抄) ダニエル・ヘラー=ローゼンとは何者か? 伊藤達也 (名古屋外国語大学教授) 本書の著者ダ…
2018.05.25
『ロラン・バルトによるロラン・バルト』 石川美子訳
ロラン・バルトは、1973年夏から少しずつ書きためてきた本を、1974年9月3日に書き終える。そしてその本は、1975年2月に『ロラン・バルトによるロラン・バル…
2018.05.23
『「蓋然性」の探求――古代の推論術から確率論の誕生まで』 南條郁子訳
本書は、2018年度第55回日本翻訳文化賞を受賞しました。 日本翻訳家協会 日本翻訳文化賞 http://www.japan-s-translators.com…
2018.05.11
ヴォルフガング・ケルステン編 高橋文子訳
「ひとつの目が見て、もうひとつの目が感じる」(『クレーの日記』937番)。 これは、本書の「第三の日記」1914年にクレーが書いた、クレー自身のことだ。この度の…
2018.04.25
木庭顕『憲法9条へのカタバシス』
このすがすがしさはどこからくるのだろう。結託や徒党や迎合主義をどこまでも排して、徹頭徹尾、個人の自由を基点にものを考える。だからこのように澄んで明るいのではない…
2018.04.16
『イサム・ノグチ エッセイ』北代美和子訳
諸般の事情でずれてしまったけれど、『石を聴く――イサム・ノグチの芸術と生涯』『イサム・ノグチ エッセイ』は同時刊行を予定していた。それは端的にそもそものきっかけ…
2018.04.12
ナイツェル/ヴェルツァー『兵士というもの――ドイツ兵捕虜盗聴記録に見る戦争の心理』小野寺拓也訳
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」 孫子の有名なこの言葉をエピグラフに、本書は巻末の補遺で盗聴記録史料の来歴を述べている。それによれば、はじまりは1939年に…
2018.04.10
[第6回配本・全11巻]
全巻ご案内はこちら 『中井久夫集』には全巻、最相葉月による「解説」がつきます。 中井久夫と河合隼雄に焦点をあてた『セラピスト』(新潮社)でも知られるすぐれたノン…
2018.03.23
カロリン・エムケ『憎しみに抗って――不純なものへの賛歌』浅井晶子訳
ますます分極化する世界で蔓延する憎しみにどう抗うか、という本です。憎しみという感情に焦点をあてたことで、驚くほど世界の中での共通点がみえてきます。 「少しくらい…
2018.03.23
海老坂武『戦争文化と愛国心――非戦を考える』
現在の日本とのつながりを遡るように、戦後思想を読み直し、考え直す。そこから非戦を考えること。 戦時の空気の中でたやすく軍国少年となっていった日々の記憶に、戦後の…
2018.03.12
ヘイデン・ヘレーラ『石を聴く――イサム・ノグチの芸術と生涯』北代美和子訳
(本書「序章」を以下お読みになれます) 1955年秋、パリに建てられる新しいユネスコ本部ビルディングのチーフアーキテクト、マルセル・ブロイヤーがイサム・ノグチに…