みすず書房

シリーズ《始まりの本》最新刊

ホッファー『波止場日記』田中淳訳 森達也解説 [2014年9月]

2014.08.25

始まりとは始原(オリジン)。
新たな問いを発見するために、
いったん始原へ立ち帰って、
これから何度でも読み直したい現代の古典。
未来への知的冒険は、ふたたびここから始まる。

* 2014年9月10日配本 (1冊)

『波止場日記』

労働と思索
エリック・ホッファー 田中淳訳[森達也解説]
  • ――一日中陽気な気分で、周囲の人々との一体感があった。読み書きのほとんどできない人々と人生をすごしたからといって、失ったものはたいしてない。(…)教育があって自分の考えを表現できる人々、議論の達者な人々とすごしていたとしても、どれだけ考えを発展させるのに役立っていたかわからない。――
  • 「君は知識人かとホッファーは言う。ならば君に話すことなどない。知識人の定義がわかりませんと僕は答える。大学で教えています。本を書きます。時には講演に呼ばれたり、年に何度かはテレビでしゃべったりします。それは知識人なのでしょうか。自分で疑っているのか。ならばぎりぎりセーフだ。」
    (森達也「距離と違和感――『波止場日記』解説日記」より)

* 2014年4月7日配本 (3冊)

『この道、一方通行』

ヴァルター・ベンヤミン 細見和之訳[新訳]
  • ――帝国主義者たちは説く、自然支配こそはあらゆる技術の意味である、と。だが、教育の意味とは大人による子どもの支配である、と宣言して拳を振りまわしている先生を、いったい誰が信用するだろう? 教育とは何よりも、世代と世代のあいだの関係に不可欠な秩序であって、したがって、もしも支配について語りたいのならば、子どもの支配ではなくこの世代間の関係の支配について語るべきだろう。これと同様に、技術もまた、自然支配ではなく、自然と人間の関係の支配なのである。――

『行動の構造』


M・メルロ=ポンティ 滝浦静雄・木田元訳[加國尚志解説] 上・下
  • ――フランスの現代の思想家のあいだでは、全自然を意識の面前で構成される客体的統一とする哲学と、有機体と意識を実在のふたつの秩序として扱い、その相互関係においてはそれらを〈結果〉や〈原因〉として扱う諸科学とが、並存している。解決は、たんに批判主義に還ることにあるのだろうか。そして、ひとたび実在的分析や因果的思考の批判がなされてしまえば、科学の自然主義のなかには根拠あるものは何もなくなるのであろうか、つまり超越論的哲学のなかに〈包含〉され移されたばあい、そこに自己の位置を見いだすべきものは何もないのであろうか。われわれは〈下から〉出発し、また行動の概念の分析を通して、そうした問題に到達するであろう。――
  • ――表象的意識も意識の形態のひとつにしかすぎず、またもっと一般的に意識が対象へのかかわりと定義されるならば、われわれに感知される身体的諸運動は、それらを生気づけ、またそれらをひとつの方向をもつメロディたらしめるような実践的志向によって、たがいに結び合わされるようになる。そして目的と手段も、それらを別々の要素として区別することが不可能となり、また人間的行為を、本能の解こうとしている問題の別な解答の仕方として扱うことも不可能となるのである。実際、もし問題が同一だとすれば、解答も同一になるはずであろう。行為の目的と手段の分析にとってかわるのは、行為に内在する意味とその内的構造の分析である。――

* 2014年2月20日配本 (1冊)

『沈黙の世界』

マックス・ピカート 佐野利勝訳
[付 レヴィナス「マックス・ピカートと顔」]

* 2014年1月24日配本 (2冊)

『ヒステリーの発明』


シャルコーとサルペトリエール写真図像集
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン 谷川多佳子・和田ゆりえ訳 上・下

* 2013年8月23日配本 (1冊)

『ケアへのまなざし』


神谷美恵子 [外口玉子解説]

* 2013年6月25日配本 (2冊)

『ベンヤミン/アドルノ往復書簡』


1928-1940
H・ローニツ編 野村修訳 [森田團解説] 上・下

* 2013年4月10日配本 (1冊)

『ロシア革命の考察』

E・H・カー 南塚信吾訳

* 2013年2月21日配本 (2冊)

『孤独な群衆』


デイヴィッド・リースマン 加藤秀俊訳 上・下

* 2013年1月7日配本 (1冊)

『サリヴァン、アメリカの精神科医』

中井久夫

* 2012年12月25日配本 (1冊)

『物理学への道程』

朝永振一郎 江沢洋編

* 2012年12月21日配本 (1冊)

『パリ、病院医学の誕生』

革命暦第三年から二月革命へ
E・H・アッカークネヒト 舘野之男訳 [引田隆也解説]

* 2012年11月1日配本 (1冊)

『カフカとの対話』

手記と追想
グスタフ・ヤノーホ 吉田仙太郎訳 [三谷研爾解説]

* 2012年9月10日配本 (1冊)

『隠喩としての病い/エイズとその隠喩』

スーザン・ソンタグ 富山太佳夫訳

* 2012年6月22日配本 (2冊)

『プロメテウスの火』

朝永振一郎 江沢洋編 [好評重版]

『科学史の哲学』

下村寅太郎 [加藤尚武解説]

* 2012年6月8日配本 (3冊)

『チーズとうじ虫』

16世紀の一粉挽屋の世界像
カルロ・ギンズブルグ 杉山光信訳 [上村忠男解説]

『政治的ロマン主義』

カール・シュミット 大久保和郎訳 [野口雅弘解説]

『望郷と海』

石原吉郎 [岡真理解説]

* 2012年4月配本 (2冊)

『ノイズ』

音楽/貨幣/雑音
ジャック・アタリ 金塚貞文訳 [陣野俊史解説]

『素足の心理療法』

霜山徳爾 [妙木浩之解説]

* 2012年1月配本 (2冊)

『天皇制国家の支配原理』

藤田省三

『アウグスティヌスの愛の概念』

ハンナ・アーレント 千葉眞訳

* 第1回配本 (2011年11月・6冊)

『臨床医学の誕生』

ミシェル・フーコー 神谷美恵子訳 [斎藤環解説]

『二つの文化と科学革命』

C・P・スノー 松井巻之助訳 [S・コリーニ解説(増田珠子訳)]

『天皇の逝く国で』

[増補版]
ノーマ・フィールド 大島かおり訳

『可視化された帝国』

近代日本の行幸啓 [増補版]
原武史

『哲学のアクチュアリティ』

初期論集
テオドール・W・アドルノ 細見和之訳

『進歩の終焉』

来るべき黄金時代
ガンサー・S・ステント 渡辺格・生松敬三・柳澤桂子訳 [木田元解説]

* 続刊予定

『知性改善論・短論文』

バールーフ・デ・スピノザ 佐藤一郎訳

『アメリカ論』(仮)

W・C・ウィリアムズ

[以下続刊]